第一話


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()内は情景です。無視して構いません。



メイド、「切嗣様!」

(下を向く切嗣は、メイドの呼び声に反応し、緩やかに顔を上げた)

メイド、「御生まれになりました!」

(その一報を聞いた切嗣は、どこか悲しい表情で右手を抑えた)

(場面・所変わってアイリの寝室)

アイリ、「可愛い、とっても…小さくて…繊細で…ほら、切嗣、目元なんて貴方そっくり…(間を空けて)私…この子を産めて本当によかった…」

切嗣、「…アイリ」

(生まれたばかりのイリヤを抱いているアイリに、窓の外を見つめる切嗣は語る)

切嗣、「僕は…君を死なせるハメになる…」

アイリ、「!…」 (その言葉の意味を察したアイリは、切嗣へ思いを語る)

アイリ、「…分かっています、それがアインツベルンの悲願…その為の私…貴方の理想を知り、同じ祈りを胸に抱いたから…だから今の私があるんです…貴方は私を導いてくれた…人形でない生き方を与えてくれた…貴方は私を悼まなくて良い、もう私は貴方の一部なんだから…(強調して)だから―――」

切嗣、「僕に…」

アイリ、「!?」

切嗣、「…僕に…その子を抱く資格は…ない(悲壮感で)」

アイリ、「…切嗣、忘れないで…誰もそんな風に泣かなくて良い世界…それが貴方の…衛宮切嗣の夢見た理想でしょ?(チョイ間)あと八年…それであなたの戦いは終わる…あなたと私は理想を遂げるの…きっと聖杯が、あなたを救うわ…だから、この子を…イリヤスフィールを抱いてあげて?胸を張って、一人の…普通の父親として…」

切嗣、「…!」


タイトル表示:【Fate/zero】


(場所・イタリア 時間は三年前に遡る…)

綺礼、「…霊呪?」

時臣、「君の右手に現れた紋様、それこそが聖杯に選ばれた証、サーヴァントを統べるべくして与えられた聖痕だ…言峰綺礼君」

綺礼、「聖杯戦争…奇跡の願望機を求め争う戦いに…私が?」

時臣、「本来なら、聖杯がサーヴァントのマスターとして選ぶ七人は、いずれも魔術師なのだが、君のように魔術と縁のないものが、これだけ早期から聖杯に見染められるというのは、極めて異例のことだろうな…」

綺礼、「サーヴァント…召喚した英霊を、使い魔として互いに戦わせると言う事もまた…」

時臣、「まぁ、俄かには信じがたい話だとは思うが、あらゆる時代、あらゆる国の英雄が現代に蘇り、覇を競い合う殺し合い…それが聖杯戦争だ」

璃正、「無論、対決は秘密裏に行うと言うのが、暗黙の掟だ、それを徹底させる為に、我ら聖堂教会から、監督役が派遣される」

綺礼、「魔術師の闘争の審判を、私達教会の人間が務めるのですか?」

時臣、「魔術教会では、しがらみに囚われて公平な審判が勤まらない…そういう事情で、60年前の前回に続いて、お父上には、私たちの戦いを見守っていただく」

綺礼、「父上が冬木の地に?…しかし、監督役の肉親が、聖杯戦争に参加すると言うのは、問題なのでは?」

璃正、「時臣君」

時臣、「そろそろ本題に入りましょうか」

璃正、「綺礼、ここまでの話は全て、聖杯戦争を巡る、表向きの事情にすぎん…今日、こうしてワシがお前と、遠坂時臣氏を引き合わせた理由は、他にある」

綺礼、「…と、いいますと」

時臣、「実のところ、冬木に現れる聖杯が、神の御子の聖遺物とは別物だと言う確証は、とうの昔に取れている」

綺礼、「…でしょうね、でなければ、我々第八秘蹟会に回収の命が下っているはずですから」

璃正、「だからと言って、放置するには、冬木の聖杯は強大すぎる、なにせ万能の願望機だ、好ましからざる輩の手に渡れば、どんな災厄を招く事か…」

時臣、「ならば、事前の策として、冬木の聖杯を望ましいものに託せる道があるのなら、それに越したことは無いわけだ…」

璃正、「遠坂家は、魔術師の一門でありながら、古くから協会とも縁故ある家柄、時臣君本人についても、その人柄は保証できるし、何よりも彼は、聖杯の用途を明確に否定している」

時臣、「根源への到達…我ら遠坂の悲願はその一点に置いて他はない、だが、かつて志を共にしたアインツベルンと間桐は、完全にその初志を忘れてしまっている」

璃正、「さらに外から招かれたマスターについては、言わずもがなだ、どのような浅ましい欲望の為に、聖杯を狙うものか知れたものではない」

綺礼、「では私は、遠坂時臣氏を勝利させる目的で、次の聖杯戦争に参加すればいいのですね?」

時臣、「無論表面上は、君と私は、互いに聖杯を奪い合う敵同士として振る舞う事になろう…だが、我々は水面下で共闘し、力を合わせて、残る五人のマスターを駆逐し殲滅する、より確実な勝利を納める為に」

(カットは璃正)

時臣、「そこでだ綺礼君、君は派遣という形で、聖堂教会から魔術教会へ転属し、私の徒弟となってもらう」

璃正、「既に正式な辞令も出ている」

時臣、「君は、日本の当家で魔術の修業に励み、三年後の聖杯戦争までにサーヴァントを従え、マスターとして戦いに参加出来るだけの、魔術師になっておかなければならない」

(時臣、ワインを一口して)

時臣、「…さて」

璃正、「何か質問はあるか綺礼」

綺礼、「…一つだけ、マスターを選別する聖杯の意思と言うのは…一体、どういうものなんですか?」

時臣、「ふむ…聖杯はより真摯にそれを必要とする者から、優先的にマスターを選別する」

綺礼、「では全てのマスターに、聖杯を望む理由があると?」

時臣、「そうとも限らない、過去には本来は選ばれないイレギュラーな人物が、霊呪を宿す事もあったらしいが…」

(時臣は、綺礼の問いの真意に気付く)

時臣、「…あぁ、なるほど、綺礼君…君はまだ自分が選ばれた理由が、不可解なんだね?」

(時間は暫く経つ)

時臣、「思いのほか簡単に承諾してくれましたなぁ、彼は」

璃正、「教会の意向とあらば、息子は火の中でも飛び込みます」

時臣、「正直なところ拍子抜けしたほどです、彼からして見れば、なんの関係もない闘争に巻き込まれたのも同然のことだったでしょうに」

璃正、「いや、むしろあれにとって、それが救いだったのかもしれません…つい先日、あれは妻を亡くしましてな、目先を変えて、新たな任務に取り組む事が、今の綺礼にとっては、傷を癒す近道なのかもしれません」


(それから時は経ち、聖杯戦争まで一年になったころ、場所・冬木)

雁夜、「葵さん」

葵、「?…雁夜君、久しぶり、出張から帰って来たの?今回は、随分かかったのねぇ」

雁夜、「あぁ…まぁね」

凛、「雁夜おじさん!」

雁夜、「ん?」

凛、「雁夜おじさん、おかえり!」

雁夜、「凛ちゃん!」

凛、「(笑みの声)またお土産買ってきてくれたの?」

雁夜、「え?」

葵、「これ凛!お行儀の悪い…」

雁夜、「(手渡す)…はい」

凛、「(喜ぶ声)おじさん、ありがと!」

雁夜、「気に入ってくれたのなら、おじさんも嬉しいよ(もうひとつ出す)…桜ちゃんは?」

凛、「…(哀しい声で)桜はね、もういないの」

雁夜、「え?…(慌てる)葵さん?」

葵、「…桜はね、もう私の娘でも、凛の妹でもないの…あの子は(チョイ間)間桐の家に行ったわ」

雁夜、「なっ…どうして!?」

葵、「間桐が…魔術師の血を持つ子供を欲しがる理由…貴方なら、分かって当然でしょ?」

雁夜、「…」

葵、「古き盟友たる間桐の要請にこたえると、そう遠坂の当主が決定したの、私が意見できるわけがない…」

雁夜、「…それでいいのか」

葵、「遠坂の家に嫁ぐと決めた時、魔術師の妻となると決めた時から、こういう事は覚悟していたわ」

雁夜、「それでいいのか!?」

葵、「魔術師の血を継ぐ一族が、ごく当たり前の家族の幸せなんて求めるのは、間違いよ」

雁夜、「嘘だ!君は幸せを望んで…アイツと――」

葵、「これは、遠坂と間桐の問題よ、魔術師の世界から背を向けた貴方には、関わりのない話」

雁夜、「…っ!」

葵、「もしも、桜に会うような事があったら…優しくしてあげて、あの子、雁夜君には懐いていたから」

(その晩、場所・間桐の家)

臓硯、「落伍者がよくおめおめと顔を出せた者よ…その面、もう二度とワシの前に晒すでないと、確かに申しつけた筈だがな?雁夜」

雁夜、「遠坂の次女を迎え入れたそうだな」

臓硯、「ホホホ、耳の早い」

雁夜、「そんなにまでして、間桐の血筋に魔術師の因子を残したいのか?」

臓硯、「それを詰るか?他でもない貴様が、一体誰のせいでここまで間桐が零落したと思っておる?雁夜、お主が素直に間桐の秘伝を継承しておれば、ここまで事情は切迫せなんだ、それを貴様と言う奴は――」

雁夜、「茶番はやめろよ、吸血鬼、あんたはあんた自身の不老不死を叶える為に、聖杯を欲しているだけだろうが」

臓硯、「フッフッフッフッ…60年の周期が、来年には巡りくる、だが四度目の聖杯戦争には、間桐から出せる駒が無い、貴様はまだしも兄の白夜程度の魔力では、サーヴァントを御しきれん、では此度の戦いは見送るにしても、次の60年後には、勝算がある、遠坂の娘の胎盤からはさぞ優秀な術者が、生まれ落ちるであろう、あれは中々器として、望みが持てる」

雁夜、「そういう事なら、聖杯さえ手に入るなら、遠坂桜に用は無い訳だな?」

臓硯、「お主、何を考えておる」

雁夜、「取引だ、臓硯、俺は次の聖杯戦争で間桐に聖杯を持ち帰る、それと引き換えに、遠坂桜を開放しろ」

臓硯、「フッフッフッフッ…バカを言え…今日の今日まで何の修行もしてこなかった落後者が、わずか一年で、サーヴァントのマスターになろうだと?」

雁夜、「それを可能にする秘術があんたにはあるだろ?アンタお得意の蟲使いの技が」

臓硯、「…ん?」

雁夜、「俺に刻印蟲を植え付けろ」

臓硯、「雁夜…死ぬ気か?」

雁夜、「間桐の執念は間桐の手で果たせばいい、無関係の他人を巻き込んでたまるか(チョイ間)…まさか、心配だとは言うまいな?お父さん」

臓硯、「フッフッフッフッ…巻き込まずに済ますのが目的ならば、雁夜…」

雁夜、「!?」

臓硯、「些か、遅すぎたようじゃの」

雁夜、「ジジィ…まさか!?」

臓硯、「初めの三日はそりゃもう、散々な泣き叫びようだったがの」

雁夜、「(悲壮と恐怖の声)…っ!」

臓硯、「四日目から、声も出さなくなったわ…今日などは明け方からこの蟲蔵に放り込んで、どれだけ持つか試しておったが…半日も蟲共に嬲られて、まだ息がある、遠坂の素材も、捨てたものではない」

雁夜、「桜…!!」

臓硯、「さて、どうする?頭から爪の先まで蟲共に犯され抜いた、壊れかけの小娘一匹、それでもなお、救いたいと申すなら…考えてやらんでもない…」

雁夜、「異存は無い」

臓硯、「ハハハッ…だがな、貴様が結果を出すまでは、引き続き桜の教育は続行するぞ?ワシの本命は、あくまでも次々回の聖杯戦争じゃ、それでも万が一、貴様が聖杯を手にするようならば…応とも、その時は無論、小娘は用済みじゃ、あれの教育は一年限りで、切り上げる事になろうな」

雁夜、「二言は無いな?間桐臓硯」

臓硯、「まずは一週間、蟲共の苗床になってみよ、それで狂い死にせずにおったら、お主の本気を、認めてやろうではないか」


(時間は経ち、場所・アインツベルン城)

切嗣、「ようやく届いたか」

アイリ、「なんの知らせ?」

切嗣、「ロンドン時計塔に潜り込ませていた連中からの報告だよ、どうやら聖杯は、魔術教会の最高学府、時計塔からもマスターを選んだようだ」

アイリ、「…誰?」

切嗣、「厄介な男だ、九代を重ねる魔道の名家、アーチボルトの嫡男、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト」


(場所・時計塔)

ケイネス、「魔術の世界では、血筋によってその優劣が概ね決定されてしまう…何故なら、魔術の非業は一代でなせるものではなく、親は生涯を通じた鍛錬の成果を子へと引き継がせる為である、代を重ねた魔道の家門ほど権威を持つのはそのためだ…」

(少し間を空けて)

ケイネス、「何故このような初歩的な話から始めるかと言うと、先日、一人の学生が私の元に論文を提出してきたからだ」

ウェイバー、「(自分のだと直感する)!?」

ケイネス、「タイトルは、新世紀に問う魔道の道、この論文は今私が話した通説に一石を投じるものだ…術式に対するより深い理解と、より手際のよい魔力の運用ができるなら、生来の素養の差など如何様にも埋め合わせが効く…つまり、血の浅いものであっても、一流の魔術師になれると説いている、私はこの論文を呼んで、正直思い知らされた…」

(生徒たちがこの論文について騒ぎ出す)

ケイネス、「静かに(論文を見つめる)…はっきり言おう、これに書かれてる事は全て妄想にすぎない」

ウェイバー、「え!?」

ケイネス、「魔術の優劣は血統の違いで決まる、これは覆すことの出来ない事実である」

(耐えかねてウェイバーは席を立つ)

ケイネス、「ウェイバー・ベルベット君、私の学生の中にこのような妄想を抱く者がいたとは、実に嘆かわしい」

ウェイバー、「先生、僕は、今の旧態依然とした魔術教会への問題定義として――」

ケイネス、「ウェイバー君!君の家は確か、魔術師としての血統がまだ三代しか続いていなかったね?」

ウェイバー、「…っ!」

ケイネス、「良いかね?魔術教会の歴史から見れば、君の家はまだ生まれたばかりの赤ん坊にも等しい、親に意見する前に、まず言葉を覚えるのが先じゃないかな?」

(生徒たちに笑われるウェイバー)

ウェイバー、「(蔑まれて憤る)…っ」

(場所・廊下)

ウェイバー、「バカにしやがって!バカにしやがってバカにしやがって!あれが講師のやる事か!アイツ、僕の論文を読んで嫉妬したんだ!僕の才能を恐れたんだ!…だから皆の前であんな真似を…」

(運送業務員とぶつかる)

ウェイバー、「うわぁ!!…いてて…」

業務員、「あぁ!すまない、大丈夫かい?」

ウェイバー、「…あ、いえ」

業務員、「ん?君は降霊科の学生か?講義はどうした?」

ウェイバー、「あ…その…あ、アーチボルト先生に用事を頼まれちゃって…それで、急いでて」

業務員、「そうか、ちょうどよかった、これをアーチボルト先生に届けてもらえるか?」

ウェイバー、「…これ、ですか?」

業務員、「頼んだよ、大事なものらしいから」

ウェイバー、「大事なもの…送り元は…マケドニア…」

(その後、場所・同書庫)

ウェイバー、「こいつだ、ケイネスの奴が、近く、極東の地で行われる、魔術の競い合いに参加するって噂、本当だったんだな…(荷物を見つめて)…聖杯戦争…200年前、始まりの御三家と呼ばれる、アインツベルン・マキリ・遠坂、三家の魔術師は、互いに協力し合い、あらゆる願望を実現させるという、聖杯の召喚に成功した…だが、聖杯が叶えるのは、ただ一人の祈りのみ…協力関係は、血で血を洗う闘争へと形を変えた、これが聖杯戦争の始まりである…以来、60年に一度の周期で、聖杯は冬木の地に再来、それを手にする権限を持つとして、7人の魔術師を選択し…サーヴァントと呼ばれる、英霊召喚を可能とさせる…アーチャー・セイバー・ランサー・ライダー・アサシン・キャスター・バーサーカー…7つのクラスに振り分けられたサーヴァントが現界、7人のいずれが、聖杯の担い手として相応しいか、死闘をもって決着させる…(ため息)…聖杯戦争って言うのは、肩書きも権威もいらない、正真正銘の実力勝負ってことか…この僕にもってこいの舞台じゃないか…!(文章を更に読む)?なお、サーヴァントの召喚には、触媒となる、英霊の聖遺物を必要とする…聖遺物…(先ほどの荷物を見る)」

(荷物を開封する)

ウェイバー、「!?…わぁ!(歓喜の声)」


(ウェイバーが日本に到着する前、場所・遠坂家の地下室)

綺礼、「(FAXのような魔術機を見ながら)何度見ても如何わしい仕掛けですね」

時臣、「ふっ…時計塔からの報告だ、ロード・エルメロイが、新たな聖遺物を手に入れたらしい、これで、彼の参加も確定のようだな」

綺礼、「未だ二つの空席があると言うのは、不気味ですね」

時臣、「なに、時が来れば聖杯は質を問わず7人を用意する、そういう人数合わせについては…まぁ、概ね小物達だからな、警戒には及ぶまい…用心について言うのなら、綺礼、この屋敷に入る所は誰にも見られてないだろうね?」

綺礼、「ご心配なく、可視・不可視を問わず、この屋敷を監視している使い魔や、魔道機の存在はありません、それは――」

ハサン、「それは私が保証します、いかなる小細工を弄そうとも間諜の英霊たるこのハサンめの目を誤魔化す事はかないません、マスターの身辺には現在いかなる追跡の気配もなし…どうか、ご安心いただけますよう…」

綺礼、「聖杯に招かれたサーヴァントが現界すれば、間違いなく、父に伝わります、他の魔術師が行動を起こすのは、まだ先の事と思われます…アサシン、この場はもう良い、引き続き外の警戒を」

ハサン、「御意…」

時臣、「だがそれも時間の問題だ、いずれこの屋敷の周囲にも他のマスターの放った使い魔共が、右往左往する事になるだろう…」

綺礼、「…それは?」

時臣、「別件の調査でね、アインツベルンのマスターについて、情報を集めていたんだ…今から九年ほど昔になるか…純潔の血統を誇ってきたアインツベルンが、唐突に外部の魔術師を婿養子に迎え入れた…もともと錬金術ばかりに特化したアインツベルン家の魔術師は、荒事に向いていない…過去の聖杯戦争での敗因も、全てそれが原因だった、それでいよいよ連中も痺れを切らしたのだろう…招かれた魔術師は、如何にもと言う人物だった…」

綺礼、「…」

時臣、「衛宮切嗣…魔術師殺しと呼ばれた男だ」


(場所・アインツベルン城)

アハト翁、「かねてより、コンウォールで探索させていた聖遺物が、ようやく見つかった、それを媒介とすれば、剣の英霊としておよそ考えうる限り、最強のサーヴァントが召喚されよう…切嗣よ、そなたに対するアインツベルンの、これは最大の援助と、思うがよい」

切嗣、「痛み入ります、当主殿」

アハト翁、「今度ばかりは、ただの一人たりとも残すな、6のサーヴァントの全てを狩りつくし、必ずや第三魔法、ヘヴンズ・フィールを、成就せよ」

切嗣、「御意」


(場所・遠坂家地下室)

綺礼、「衛宮切嗣…その名前、聞き覚えがあります…」

時臣、「ほう?聖堂教会にも轟いていたか…魔術師殺しの衛宮と言えば、当時はかなりの悪名だった、表向きは魔術教会に属さないハグレ者だったが、上層部の連中は、奴をいろいろと便利に使っていた様だ」

綺礼、「我々聖堂教会で言うところの、代行者のようなものですか?」

時臣、「もっとタチが悪い…この男は、魔術師専用に特化した、フリーランスの暗殺者のようなものだよ、魔術師を知るが故に、最も、魔術師らしからぬ方法で、魔術師を追い詰める…読んでみたまえ」

綺礼、「狙撃・毒殺・公衆の面前での爆殺・旅客機ごと撃墜?標的が乗り合わせたと言うだけで…」

時臣、「そういう下衆な戦法を平然とやってのける男だ(チョイ間)魔術師と言うのは、世界の法から外れた存在であるからこそ、自らに課した法を厳格に順守しなければならない、だがこの男は、魔術師であるという誇りを微塵も持ち合わせていないんだ、こういう手合いは断じて許せない」

綺礼、「…では…この、衛宮切嗣と言う男は…何を目的に殺し屋などを…?」

時臣、「まぁ恐らくは金銭だろうな、その報告書にもあるだろうが、奴が関わってきたのは、魔術師の暗殺だけではない、事あるごとに世界中の紛争地を渡り歩いては、傭兵として小遣い稼ぎをやっていたらしい」

綺礼、「…この書類…少しお借りしても、良いでしょうか…」


(場所・アインツベルン城)

アイリ、「(FAXを見つめる)…」

切嗣、「集めた情報を整理してみよう、アイリ…聖杯が選ぶ7人のマスターのうち、現在判明しているのは4人…遠坂時臣、遠坂家当主、火の属性で宝石魔術を扱う、手ごわい奴だ。間桐雁夜…ふっ、当主を継がなかった落伍者を、強引にマスターに仕立て上げた訳か、あそこの老人も必至だな ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、風と水の二重属性を持ち、降霊術・召喚術・錬金術に通ずるエキスパート…そして――」

アイリ、「衛宮切嗣、アインツベルンが招き入れた最強の切り札、私の最愛の人」

切嗣、「(ほくそ笑む)…そして4人目の、いや、5人目のマスターは、聖堂教会からの派遣で、名前は言峰綺礼」

アイリ、「聖堂教会から?」

切嗣、「監督役を務める、言峰璃正神父の息子だ、三年前から遠坂時臣に師事し、その後に霊呪を授かったことで、師と決裂したとある…」

アイリ、「どうか…しました?」

切嗣、「経歴まで洗ってあるんだが…君も読んでごらん?」

アイリ、「言峰綺礼、幼少期から、父璃正の聖地巡礼に同伴し、マンレーサのイグナチオ神学校を卒業、二年飛び級で…しかも主席!?大した人物の様ね」

切嗣、「だが突然、出世街道を外れて、聖堂教会に志願している…何故よりによって、教会の裏組織に身を落とすような真似をしたのか…」

アイリ、「父親の影響かしら、ほら、父親と同じ、聖堂教会の第八秘蹟会所属とあるわ」

切嗣、「だったら最初から父親と同じ道を目指したはずだ…なのに、父と同じ部署に落ち着くまで、転々と三度も所属を変え、一度は代行者にまで任命された事もある」

アイリ、「代行者?」

切嗣、「異端・討伐の任を負う者だ、要するに、以前の僕と同じ、魔術師殺しの役目さ」

(※遠坂家とアインツベルン城の二か所で二人は語る)

綺礼、「衛宮切嗣…彼の仕業とされる暗殺は、短期間の内に連続して決行される、それと並行して紛争地も転々としているが、出没する時期は、戦況が激化したころばかりだ…まるで、死地へと赴く事に、何らかの強迫観念が有ったかのような、明らかに自滅的な行動原理…これは、どういう事だ」

切嗣、「錬金、降霊、召喚、卜占、治癒…見なよ、奴が習得した魔術のカテゴリーを…この積極性はなんだ?何でもあと一歩のところまで突きつめておいて、そこから何の未練もなく、次のジャンルに乗り換える…まるで、それまで培ってきたものを、クズ同然に捨てるみたいに…アイリ、僕には、この言峰綺礼の在り方が恐ろしい…」

綺礼、「この男に利己と言う思考は無い、彼の行動は、実務とリスクの釣り合いが完全に破綻している…こいつが、金銭目当てのフリーランサーであるわけがない…!」

切嗣、「この男の人生には、ただの一度も情熱が無い、この男はきっと何も信じてない…願望と呼べるものは、何一つ持ち合わせていないだろう…(チョイ間)そんな男が…」

綺礼、「では…何を求めて…」

切嗣、「どうして命を賭してまで、聖杯を求める…」

アイリ、「でも、言峰綺礼はマスターの一人として聖杯に選ばれた…」

切嗣、「そうだ…この男、聖杯を手にするだけの所以を待ち合わせている筈なんだ…だがそれが何なのか、まるで見えない…それが恐ろしいんだよ、僕は」

アイリ、「…」

切嗣、「言峰綺礼…」

綺礼、「衛宮切嗣…飽く事無く繰り返された、この男の戦いは…九年前に唐突と幕を閉じた…北の魔術師、アインツベルンとの邂逅…つまり、その時彼は答えを得たのだ、ならば問わねばなるまい、何を求めて戦い、その果てに…何を得たのかを…!」


(場所・間桐家)

臓硯、「ギリギリ間に合ったではないか、聖杯に選ばれたという事は、貴様もそれなりの術師として認められたという事だ、ひとまずは褒めてつかわすぞ雁夜…じゃがな、無様な姿よのぉ」

雁夜、「くっ…」

臓硯、「ほれ、左足はまだ動くのか?ん?ふふふふ…」

(杖で足を突かれる)

雁夜、「(悶え苦しむ声)がっ…ぬぅぅぅ…」

臓硯、「ふははははっ、怒るな怒るな、体内の刻印蟲を刺激すれば、蟲が貴様を食い潰してしまうぞ?まあそれでもワシの見立てでは、貴様の命は、もってあと一月ほどだろな?」

雁夜、「(小さく)…十分だ」

臓硯、「何じゃと?」

雁夜、「それで十分だと言ったんだ」

臓硯、「ハハハッ、雁夜、一年耐えた褒美じゃ、貴様に相応しい聖遺物を見つけておいたわ…父の親切を、無にするでないぞ?」


(場所・日本に到着したウェイバー)

ウェイバー、「(笑い声小〜大へ)ふふふ…ふふふふ…はーはははっ!!僕にも宿ったぞ霊呪が!僕は聖杯に選ばれたんだ!聖杯は僕の才能を認めてくれたんだ!…いつまでも浮かれちゃいられない!サーヴァント召喚の準備をしなくちゃ!」

(翌朝・同場所)

ニュースキャスター、「冬木市で、一昨日の夕方から行方不明となっていた―――」

グレン、「おはようウェイバー」

マーサ、「おはようウェイバーちゃん」

ウェイバー、「(あくび声)ふぁ〜っおはよう、お爺さん、お婆さん」

グレン、「(ニュースを見て)冬木も物騒になったもんだな」

マーサ、「えぇ、全く」

グレン、「それにしてもなぁ婆さん、今朝は明け方から鶏の声がうるさくてかなわんが…ありゃなんだろうね」

マーサ、「うちの家に、鶏が三羽いるんですよ」

グレン、「うちの庭に?」

マーサ、「そうですよ?一体どこから来たのかしらねェ?…ウェイバーちゃんもコーヒーで良い?」

ウェイバー、「うん…」

マーサ、「ウェイバーちゃん、どうしたのその手は?」

ウェイバー、「…あ、しまっ――」

マーサ、「その痣」

グレン、「痣だって?」

マーサ、「昨日まで無かったでしょその痣」

ウェイバー、「…あぁ〜ったく!余計なこと気付きやがって…」

グレン、「ど、どうしたウェイバー」

マーサ、「ウェイバーちゃん」

ウェイバー、「どうもしてないよ、ほら、コーヒー飲みなよ、ミルクをたっぷり入れて…二人とも好きでしょ?…コーヒー」

グレン、「(眠り込む声)う〜ん…」

マーサ、「(同じく)」

ウェイバー、「ふぅ…それでまた、僕が海外遊学から戻ってきた孫だって所から暗示をかけないと、ダメなのかな…」

(鶏の鳴き声)

ウェイバー、「盗んできた鶏の事も、誤魔化しておかないとな…」


(場所・アインツベルン城)

切嗣、「まさか本当に伝説の聖剣の鞘を見つけてくるなんて…傷一つない…これが1500年も前の時代の発掘品だって…?」

アイリ、「これ自体が、一種の概念武装ですもの、物質として当たり前に風化する事は無いでしょうね…ただ装備しているだけで、この鞘は伝説の通りに持ち主の傷を癒し、老化を停滞させる、もちろん、本来の持ち主からの魔力供給があればの話だけど」

切嗣、「つまり、呼び出した英霊と対にして運用すれば、これ自体をマスターの宝具として活用できるわけだな?」

アイリ、「貴方らしいわね、道具はどこまでも道具と言う訳?」

切嗣、「それを言うなら、サーヴァントにしてもそうだ、どんな名高い英霊だろうと、サーヴァントとして召喚されれば、マスターにとっては道具も同然…そこに妙な幻想を持ちこむ奴は…きっとこの戦いは勝ち残れない…」

アイリ、「そんな貴方にこそ、この鞘は相応しいと、それが大御爺様の判断なのね」

切嗣、「果たしてそうなんだろうか…」

アイリ、「ふふふっ、大御爺様のおくりものがご不満?」

切嗣、「まさか、アハト翁はよくやってくれた、これほどの切り札を手にしたマスターは居ないだろうさ…」

アイリ、「じゃあ何がいけないの?」

切嗣、「これだけゆかりの品として完璧な聖遺物があるなら、間違いなく、召喚に応じるのは、目当ての英霊になるだろう…伝説の騎士王、アーサー・ペンドラゴン…マスターである僕との相性などは、二の次にしてね?」

アイリ、「でもエクスカリバーの担い手となれば、間違いなくセイバーのクラスとしては最高のカードよ?」

切嗣、「そうだな、僕は誰よりも無敵のサーヴァントを得ることになるだろう…問題はね、その最強戦力を、どう使いこなせばいいのかなんだよ、正直な所扱いやすさだけで言うなら、キャスターかアサシンあたりの方が、よほど僕の性に合ってたんだけどね」

アイリ、「召喚する前から不安がってても、しょうがないじゃない、騎士王が実際にどんな人なのか分からないんですもの…それに、貴方の戦法はどうあれ、貴方の夢を、理想を知れば…分かってくれるわ…きっと彼だって(チョイ間)…私の様に…」

(おもむろに立ち上がる切嗣)

アイリ、「…何?」

切嗣、「策が閃いたよ、最強のサーヴァントを…最強のままに使い切る方法が…」


(場所・遠坂家)

凛、「(荷物を運ぶ声)ふん…ふん…っ」

綺礼、「(優しく)こんにちわ凛」

凛、「!?(嫌々しく)こんにちわ綺礼」

綺礼、「外出かな?随分と大荷物の様だが?」

凛、「えぇ、今日から禅城の家で御世話になりますから(チョイ間)…綺礼は、お父様のそばに残って一緒に戦うんですよね?」

綺礼、「その為に弟子として、来たんだからね、私は」

凛、「綺礼、貴方を信じていいですか?」

綺礼、「ん?」

凛、「最後までお父様を無事守り通すと、約束してくれますか?」

綺礼、「それは無理な相談だ、そんな約束ができるほど、安穏な戦いであるのなら、何も君や奥様を、避難させる必要もないだろう」

凛、「!?…やっぱり私、貴方のこと好きになれない!」

綺礼、「凛、そういう本心は人前で口にしてはいけないよ?でなければ君を教育している父親の品格が、疑われるからね」

凛、「お父様は関係ないでしょ!?良い?綺礼、もしアンタが手ェ抜いて、お父様に怪我させるような事になったら、絶対に容赦しないんだからね!?」

葵、「凛?何をしているの?大声を出して…」

凛、「あ…えーと…その…」

綺礼、「御別れの前に、私を激励してくれていたのです奥様」

凛、「(怒る)!?」

綺礼、「手伝おう、そのスーツケースは、君には重すぎるだろ?」

凛、「いいの!自分で出来ます!」

葵、「言峰さん、どうか主人をよろしくお願いします、あの人の悲願を遂げさせてください」

綺礼、「最善を尽くします、ご安心を」

凛、「べー!」

(同家・時臣部屋)

綺礼、「失礼します」

時臣、「ちょうど良い所に来てくれた、手配していた聖遺物が今朝ようやく届いたよ…見たまえ」

綺礼、「…これは…」

時臣、「ふふふ…遥かな太古…この世で初めて脱皮した蛇の抜け殻の化石だよ、これを媒介にして、首尾よくあれを呼び出したなら…その時点で、我々の勝利は確定する…!」


(間桐家廊下)

雁夜、「(苦し気な声)ハァ…ハァ…ハァ…」

桜、「…!?」

雁夜、「やぁ、桜ちゃん…ビックリしたかい?」

桜、「うん…お顔…」

雁夜、「あぁ、ちょっとね、また少しだけ、また体の中の蟲に負けちゃったみたいだ…へっ、おじさんはきっと、桜ちゃんほど我慢強くないんだね…ははっ」

桜、「雁夜おじさん…どんどん違う人みたいになってくね…」

雁夜、「!?…そうかもしれないね…」

桜、「今夜はね、私、蟲蔵へ行かなくて良いの、もっと大事な儀式があるからって御爺様が言ってた…」

雁夜、「あぁ、知ってる…だから今夜は、代わりにおじさんが地下に行くんだ」

桜、「雁夜おじさん、どこか遠くへ行っちゃうの?」

雁夜、「これからしばらく、おじさんは大事は仕事で忙しくなるんだ…こんな風に桜ちゃんと話していられる時間も…あまり無くなるかもしれない…」

桜、「そう…」

雁夜、「なぁ桜ちゃん、おじさんの仕事が終わったら、また皆で遊びに行かないか?お母さんやお姉ちゃんも連れて」

桜、「お母さんやお姉ちゃんは…そんな風に呼べる人はいないの、居なかったんだって思いなさいって、そう御爺様が…」

雁夜、「…そうか…」

(雁夜は桜を抱きしめる)

桜、「…おじさん?」

雁夜、「じゃあ、遠坂さん家の、葵さんと凛ちゃんを連れて、おじさんと桜ちゃんと4人で、どこか遠くへ行こう、また昔みたいに…一緒に遊ぼう」

桜、「あの人たちと…また会えるの?」

雁夜、「あぁ、きっと会える、それはおじさんが約束してあげる」

桜、「…」

雁夜、「じゃあ、おじさんはそろそろ行くね?」

桜、「うん…バイバイ、雁夜おじさん…」

雁夜、「ハァ…ハァ…ハァ…」

桜、「…バイバイ」

(蟲蔵)

臓硯、「召喚の呪文は、覚えてきたであろうな?」

雁夜、「あぁ」

臓硯、「良いじゃろう、だがその途中に、もう二節別の詠唱を差し挿んでもらう」

雁夜、「どういう事だ?」

臓硯、「なに、単純な事じゃよ、雁夜、お主の魔術師としての格は、他のマスター共に比べれば些か以上に劣るのでな、サーヴァントの基礎能力にも影響しよう、ならばサーヴァントのクラスによる補正で、パラメーターそのものを底上げしてやらねばなるまいて…雁夜よ、今回呼び出すサーヴァントには、狂化の属性を付加してもらうかの」


(ウェイバー陣営召喚の場)

ウェイバー、「閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ!繰り返すつどに五度、ただ満たされる刻を破却する!」


(時臣陣営召喚の場)

時臣、「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公、祖には我が大師シュバインオーグ、降り立つ風には壁を、四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ…!」


(切嗣陣営召喚の場)

アイリ、「英霊を召喚すると言うのに、こんな単純な儀式で構わないの?」

切嗣、「拍子抜けかもしれないけどね、サーヴァントの召喚には、それほど大掛かりな降霊は必要ないんだ、実際にサーヴァントを招き寄せるのは、聖杯だからね、僕はマスターとして、現れた英霊をこちらの世界に繋ぎとめ、実体化できるだけの魔力を供給しさえすればいい…(魔法陣を確認し)…良いだろう、アイリ、聖遺物を祭壇に置いてくれ、それで準備は完了だ」


(ウェイバー陣営)

ウェイバー、「告げる、汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に!聖杯の寄るべに従い、この意、この理に、従うならば応えよ!」


(切嗣陣営)

切嗣、「誓いを此処に、我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての…悪を敷く者!」


(雁夜陣営)

雁夜、「されど汝は…その眼を混沌に曇らせ侍るべし…汝、狂乱の檻に囚われし者…」

臓硯、「ふっ…」

雁夜、「我はその鎖を手繰る者ぉぉ!!!」


(時臣陣営)

時臣、「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!」


ウェイバー、「ハァ…ハァ…(喜び)わぁ!」

雁夜、「ハァ…ハァ…ハァ…(覚悟の声)ふぅ…」

時臣、「勝ったぞ綺礼…この戦い…我々の勝利だ!」

アイリ、「…(驚く)…!?」

切嗣、「こいつは…!?」

セイバー、「問おう…貴方が…私のマスターか」


【第一話:英霊召喚】




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