金蝉、「ん?テン?おい!」
金蝉、「ふん、ちっ」
菩薩、「(あくび)ふわぁーあ…ん?おい見ろよ二郎神。滅多に無いものが拝めるぜ?」
二郎神、「何がです?」
菩薩、「金蝉だよ、アイツが誰かに付いて歩くなんてなぁ」
二郎神、「はぁそれは」
菩薩、「大した玉だぜ?あのチビ」
金蝉、「俺は…ただ悟空にせがまれるままココに立ち寄っただけだ…なのに何故お前の部屋の片づけを手伝わねばならん!」
金蝉、「お前は?」
金蝉、「哪吒は…まだ療養中と聞いているが?」
金蝉、「お前、本になんて興味あったのか?」
金蝉、「…もういい…」
金蝉、「おい、ココの書庫は何でもあるのか?」
金蝉、「何でもいい、お前が面白いと思ったモノ、今度貸せ」
二郎神、「観世音菩薩…こちらの書類ですが―――なんですかそれは」
菩薩、「似合うだろう?」
二郎神、「まさかと思いますが…ご自分で?」
菩薩、「作るわけ無いだろ。拾ったんだよ」
二郎神、「拾った?」
菩薩、「あぁ。主の手を離れ、捨てられた花さ」
金蝉、「揃いも揃って、何だその風体は」
金蝉、「ウソを付け、また何かやらかしたんじゃねぇだろうな、悟空!」
金蝉、「はぁ、まぁいい。あまり悟空を妙な事に巻き込むなよ、ただでさえ歓迎されて無いんだ、で?小汚たねェを面見せに来たわけでもないだろ、今日は何だ?」
金蝉、「いや、俺はこれをババァに届けなきゃならん」
金蝉、「天蓬…!」
金蝉、「解任!?捲簾が、軍大将を!?」
菩薩、「未遂だがな。天蓬が直談判して取り下げさせたらしい。」
菩薩、「しかし、李塔天のことだ、ただでは起きんだろう。」
金蝉、「じゃあ、アイツらの怪我は…」
菩薩、「怪我?」
金蝉、「俺は、何も聞かされていない…」
菩薩、「ふっ、話す程の事でも無かったんだろう?」
金蝉、「上層部の動きも、軍の内情も、何も知らんのは俺だけか…胸糞悪ぃ…!」
菩薩、「ガキ」
金蝉、「!?」
菩薩、「知ろうとしなきゃ分からん事もある。何年生きて来てんだ…お前は」
菩薩、「お前はあのチビの…太陽でいられるのか?」
金蝉、「どうした?悪い夢でも見たか」
金蝉、「何泣いてんだ?」
金蝉、「あぁ?」
金蝉、「飯くらいで、バカかお前は」
金蝉、「行くぞ」