(しんのすけの家では風間君達を中心にしたカスカベ防衛隊が揃っていた)
風間、「春日部中の大人が居なくなっちゃうなんて」
マサオ、「一体どこ行っちゃったんだろう?」
ネネ、「20世紀博に行ったんじゃない?」
マサオ、「何しに行ったのかな?」
ネネ、「遊びにでしょ?きっと私達捨てられちゃったのよ!」
マサオ、「えぇ!?うわーやだやだ!!」
しんのすけ、「大人達、本当にあの中で遊んでんのかな?」
ボーちゃん、「こっそり、大人たちの国を、作ってるとか」
しんのすけ、「おぉー!オトナ帝国ですな!」
みんな、「オトナ帝国!?」
マサオ、「子供はどうなっちゃうの!?」
しんのすけ、「えへへへ」
風間、「しんのすけ!真面目にやれよ!僕は、誰が何と言おうとパパとママを信じている!大丈夫!心配しなくてもすぐに大人達は帰って来るよ!」
しんのすけ、「えへへへ」
風間、「もう!ボーちゃんまで何だよ!」
小堺、「お尻を、ギュー」
関根、「カモン!」
しんのすけ、「お?」
座団、「臨時ニュースです、今日午前九時頃、全国各地で人々が集団で失踪するという、まことに上可解な事件が発生しました、一部の情報によりますと、人々―――」
風間、「春日部だけじゃ無かったんだ!」
座団、「空荷のトラックが目撃され、この事件と、何らかの関係があるのではないかと見て、捜査――――」
しんのすけ、「お?」
実況、「さぁ大巨人次は何をするのか、おっと脳天唐竹割りであります!かなり効いたバトルロイヤー!…おっと凶器を出しました!卑怯です!卑怯です!まさに、極悪非道!」
風間、「何でこんな古い番組やってんだ?他のチャンネルも見ようよ」
坂上二郎、「とびます!とびます!」
萩本欽一、「なんでそーなるの!」
林家三平、「どうもすいません」
ハナ肇、「あっと驚くタメゴロー!」
風間、「みんな古い番組ばかりだ」
審判、「ただいま、リングを掃除しておりますのは、双葉電機の掃除機、雷神でぇございます!」
しんのすけ、「ふあぁーあ―」
マサオ、「お腹すいたな…」
しんのすけ、「オラも」
ネネ、「お昼過ぎだもんね」
しんのすけ、「何か食べ物探しに外行こうよ」
マサオ&ネネ、「えぇー!!?」
マサオ、「怖いよ!」
風間、「うちの中に何かあるだろう?」
しんのすけ、「とーちゃんとかーちゃんが全部食べちゃった、近所のコンビニに行けば、食べ物いっぱいあるぞ?」
悪童、「絶対にダメだ!」
風間、「いいじゃないですか!」
ネネ、「そうよ!入れなさいよ!」
悪童、「もうここに食べ物は無いんだよ!」
ネネ、「いーっぱいあるじゃないの!」
悪童、「お前達に食べさせる分がねぇって言ってんだよ!」
ネネ、「何それ!」
悪童、「帰らねェと、痛い目見るぞ!」
ネネ、「むっかつく!何よ!独り占めにしてー!!」
マサオ、「でもどうする?」
しんのすけ、「とっときの作戦があるぞ?」
(バケツや筒に入ってカモフラージュした風間君達は、気付かれない様に朊の中に食べ物を詰め込んだ)
風間、「よし、引き上げよう」
しんのすけ、「お?チョコビ!ちょっとだけ、ちょっとだけー」
風間、「何やってんだよ!早くしないと捕まっちゃうだろ?」
しんのすけ、「おぉ…おぉぉ…!」
マサオ、「いてっ!」
悪童、「誰だ!」
悪童モブ、「お?あれ?」
悪童、「探せ!さっきの奴らが、忍びこんでるかもしれないぞ!」
しんのすけ、「お?」
(悪童がしんのすけのバケツの上に座っていた)
しんのすけ、「うーん…う…(浣腸する)!」
悪童、「うあぁああ!!!」
しんのすけ、「おぉ」
悪童モブ、「そこに居たか!捕まえろ!!」
しんのすけ、「みんな逃げろ!!」
風間、「残ったのはこれだけか…」
ネネ、「ほとんど途中で落としちゃったもんね」
風間、「これで何とかもたすしかないな」
しんのすけ、「全然もたないぞ」
ひまわり、「たうー」
しんのすけ、「ごめんねひまちゃん、風間君がカイショウなばかりに」
風間、「え、僕のせいかよ…」
しんのすけ、「アナタ!この子がかわいそうだと思わないの?んもぉー!!所詮あなたって勉強は出来ても生活力ないのよ!いいわよ!アタシ働きに出るわ!浮気したって知らないから…!キーッ!!!」
風間、「おーい待ってくれ!俺が悪かった―――あっ」
マサオ、「風間君」
風間、「冗談だよ冗談!あっあの店行ってみよう、何かあるかもしれない!」
(風間君達一行は、スナックでお茶を飲んでいた)
ネネ、「はーいジャンジャン飲んでね、今日は店のオゴリよ?」
マサオ、「何かこういう店、初めてだからキンチョーするね」
ネネ、「あら、こちら初めて?ネネです、よろしくぅー」
風間、「はぁー!喉が渇いてたから美味しい!」
ネネ、「ごめんね、ウーロン茶で、あと15年したらお酒飲ませてあげる」
風間、「なんかネネちゃん、サマになってるね」
しんのすけ、「何よ、新人のくせにいい気になって、アンタなんてまだまだよ、ナンバーワンの座は渡さないわ」
ネネ、「渡してくれなくて結構、奪ってみせる!」
しんのすけ、「おだまり!」
風間、「ちょっとどうしちゃったのさ二人とも!」
マサオ、「(酔ってる)いいぞぉ!もっとやれーい!」
風間、「まさおくん!?(匂いを嗅ぐ)クンクン…ウーロン茶だよな…?」
しんのすけ、「アナタ!」
風間、「えっ?」
しんのすけ、「そうよ、他に誰がいるっていうの!?こんな女に鼻の下伸ばさないで!子供が見てるでしょ!?」
ひまわり、「たぁ」
風間、「もうよせよ!みんなおかしいよ!」
マサオ、「(飲み終わる)ぱぁ!…けっ、女なんて、どいつもこいつもオランダでー!!」
風間、「え?」
しんのすけ、「アナタ!聞いてるの!?まったく…誰の為にこんなトコで雇われママやってると思ってんのよ、ねぇボーさん」
ボーちゃん、「僕は、ママ一筋だから…」
しんのすけ、「ボーさん」
ボーちゃん、「ママ…」
風間、「え?え?コラーッ!浮気は許さんぞー!!」
マサオ、「君いくつ?」
ネネ、「5歳」
マサオ、「ヘー、若いねーっ」
風間、「頼む!捨てないでくれー!!」
(日が落ちる前、疲れ果てた風間君達)
風間、「何やってたんだ、僕ら…店の雰囲気のせいかな?」
ネネ、「お酒の匂いかも」
マサオ、「二日酔いしたみたい」
ボーちゃん、「ボー」
しんのすけ、「いやー大人って楽しいなぁ!」
風間、「はぁ…大人たち帰って来ないね」
(突然あらゆる電気が切れた)
風間、「あっ!?」
マサオ、「何で電気消えたの?」
ボーちゃん、「大人が、居なくなったから」
風間、「電気を送る所に、誰もいないんだよ、きっと、多分、ガスも水道も…」
(しんのすけの家に帰って、自発式のライト付きラジオを流している)
マサオ、「聞いた事無い曲ばっかかかるね」
風間、「昔の曲だろうね、きっとラジオ局も乗っ取られたんだよ」
ラジオMC、「音楽の途中ですが、ここで20世紀博からのお知らせです」
ケン、「良い子の皆、こんばんわ、私はイエスタディ・ワンスモアのリーダー、ケンだ」
風間、「イエスタディ・ワンスモア?」
ケン、「君達のパパやママは、20世紀博で子供に戻って楽しく過ごしている、時間は逆戻りを始め、もう進む事は無い、君たちの未来は消えたのだ…間もなく、迎えの車が行く、それに乗りなさい、こちらに来れば温かい食事もあるし、パパとママにも会える、来ないモノは反抗分子とみなし、明朝八時を期して捕える、当然、パパとママにも合わせない…」
マサオ、「えぇー…!」
ケン、「どちらを選ぶかは自由だが、私は素直な子の方が好きだな」
隊員A、「良い子の皆!出ておいで?一緒にパパとママの所へ行こう!早く、おいでー」
隊員B、「さぁ、ちゃんと並んで?もっと奥つめてね」
マサオ、「わっ!(口を塞がれる)んー!」
風間、「マサオ君こらえて!」
マサオ、「なんで乗らないの?パパとママに会えるんだよ?」
風間、「僕だって会いたいけど、わざわざ迎えに来るなんて変だよ」
ネネ、「そうよ、今朝は置いてったくせに」
ボーちゃん、「罠かも」
しんちゃん、「明日の朝、また来るって言ってたぞ」
風間、「うん、今度は捕まえるって、ここを出て、どこかに隠れた方が良いね」
しんのすけ、「だったら良いとこあるぞ?」
隊員C、「ガキども、ホントに親に会わせるのか?」
隊員D、「いや、子供は隔離するらしい、教育して21世紀の匂いが消えたら、あの町の住人にするんだと」
隊員C、「ふーん…反抗的なガキは?」
隊員D、「さぁな」
風間、「ココが良いとこ?」
しんのすけ、「そ!サトーココノカドー」
風間、「でも、確かにココなら何でもあるし、隠れる所も一杯あるな」
しんのすけ、「オラ、一度デパートにお泊りしてみたかったんだぁ!」
皆、「はぁ…」
南州太郎、「おじゃましまっす」
三波伸介、「びっくりしたなーもう」
ショパン猪狩、「レッドスネークカモン!!」
谷啓、「がちょーん」
椊木等、「お呼びでない?こりゃまた失礼しました!」
高松しげお、「どったの?」
松鶴家千とせ、「俺が夕焼けだった頃、お袋は胸やけだった」」
財津一郎、「ひっじょーにキビシィーッ!!」
(20世紀博では花火が上がっていた、真っ暗になったカスカベをあざ笑うように、20世紀博は輝くように光っていた)