カウボーイビバップ天国の扉

スパイク、｢そいつはただ…一人ぼっちだっただけさ…自分以外の誰ともゲームを楽しめない…夢の中で生きてるような…そんな男だった｣

ジェット、｢スパイク…起きろよ…起きろ！｣

レンジィ、｢いいか？世の中ってのは煮えたぎった鍋の中みたいなモンなんだ、ドロドロに溶けたシチューの中身は？どれが偉いわけでもどれが役立たずでも無い、一つになったシチューなんだ。ただ、どうしても忘れちゃいけないモノがある…なんだか分かるか？｣

レジ員、｢…お肉？｣

レンジィ、｢誰もがそう思う、だがな？シチューの素がなきゃシチューじゃ無い！同じ材料でも、カレーにだってなっちまうのさ｣

レジ員、｢シチューの素ならあそこの棚に｣

レンジィ、｢そゆ事言ってんじゃねぇんだ！｣

ジェット、｢とんだ説教強盗だぜ…スパイク、行くぞ？三人だ、俺は裏から回る｣

スパイク、｢オーラァイ｣

レンジィ、｢警察を待っても無駄だぜ？ココのセキュリティーは全部分かってんだ、何故だと思う？｣

強盗A、｢レンジィ！早くやっちまえよ！｣

レンジィ、｢このマークのセキュリティー会社、俺はココの社員だったんだよ｣

レジ員、｢はぁ…｣

レンジィ、｢リストラされて強盗に転職したって訳だ、面白いだろ？｣

レジ員、｢はぁ…｣

レンジィ、｢笑えよコラ｣

レジ員、｢ハハハハ｣

レンジィ、｢面白いか？｣

レジ員、｢ハ、ハハハ｣

レンジィ、｢面白いだろ？ニヒヒヒヒヒヒヒ！｣

レジ員、｢ハハハハハハ｣

レンジィ、｢笑い事じゃねぇんだ！｣

強盗B、｢オイ、今日はもう閉店だ、よそへ行きな？…オイ！ん？…ぐあっ！｣

レンジィ、｢分かったらさっさとこのマネーカードに金を…ん？オイコラ誰だテメェ！…オイ！聞えねぇのか！クソォ…オイ！そいつを外して聞け！オォ！｣

スパイク、｢コレください｣

レンジィ、｢ワッ！ウッ！クッ！グァ！！…アァッチッチィ…｣

強盗C、｢ヤロー！！｣

強盗A、｢なっ！この―――ぐぁ…｣

強盗C、｢グアァ！！｣

ジェット、｢スパイク！｣

スパイク、｢おぅ！ドーナツは、コイツらにツケといてくれ｣

レジ員、｢あっ｣

強盗D、｢ふぅー…な！？｣

スパイク、｢ん？｣

ジェット、｢え？｣

強盗、｢え…えぇ…？う、動くな！｣

スパイク、｢…ジェットさんよぉ｣

ジェット、｢なんだ｣

スパイク、｢三人って言ったよな？｣

強盗D、｢銃を床に捨てろ！｣

ジェット、｢敵を欺くには先ず味方から｣

スパイク、｢欺いてどうすんだよ！｣

強盗D、｢コラ聞け！｣

スパイク、｢大体お前のクソが長過ぎんだよ！！｣

強盗D、｢やかましい！コイツが死んでもいいのか！？｣

ジェット、｢(ため息)｣

強盗D、｢あ？聞えてんのかオイ！コイツが見えねェのか！？｣

スパイク、｢悪ぃな婆さん、俺達は警察でも警備員でもない、市民の命を守る義務なんて持ち合わせちゃねェ｣

強盗D、｢何…？｣

スパイク、｢不運だったと諦めてくれ｣

強盗D、｢チッ、カウボーイか！｣

ジェット、｢お、おい、何言ってんだお前｣

婆さん、｢人でなしー！！キャー！！！｣

強盗D、｢グアッ！｣

婆さん、｢…カウボーイだって！？あんた…一体何モンだい！？｣

スパイク、｢フゥー…ただの賞金稼ぎさ｣